この記事は、私が祖父(2018年7月に永眠)の介護にかかわった約8か月の体験を元にしています。私は介護にかかわること自体初めてで、何の知識もありませんでした。
そんな私が最後まで祖父の介護にかかわることができたのは、ケアマネージャーさんやヘルパーさん、訪問看護師さん、主治医の先生など多くの人達の助けがあったからです。
今になって当時を振り返ると、「あの時ああすればよかった」など反省することも多いです。その体験が少しでも誰かの役に立てば嬉しいと思い、記事にすることにしました。
この祖父の介護の記事は私の実体験を語りながら、感じたことや反省したこと、そして介護や医療関係者から受けたアドバイスなどもご紹介します。
今回は祖父の介護②でご紹介した、とんでもないヘルパー事業所についてご紹介します。
最初私は、このヘルパー事業所が全面的に悪いだろうと考えていましたが、後でわかった5つのことから「もしかすると相手が100%悪かった訳じゃないかもしれない」と思いました。
介護にかかわり始めたばかりの人や、これから介護にかかわるという人は、同じ状況にならないために読んで頂けたらと思います。
とんでもないヘルパー事業所もある!?
祖父の介護②でご紹介しましたが、私が介護にかかわる前に祖父が利用していたヘルパー事業所はとんでもないところだったようです。
ヘルパーが来ているのにゴキブリやうじ虫だらけ?
祖父が入院して2日後に自宅に向かった私は、あまりのひどさに言葉も出ませんでした。特に驚いたのが家中にゴキブリがうようよいたこと、祖父の布団やベッドの下がうじ虫だらけだったことです。
私は祖父の介護関係を一切把握しておらず、ただ「ヘルパーさんには入ってもらっているみたい」という話を聞いていたくらいでした。なにしろ祖父とは1年に1回会うか、会わないかという疎遠な関係だったので。
仕事内容もよくわかっておらず、とにかくヘルパーさんに入ってもらえば、家のことを何でもやってもらえると思っていました。なので、祖父の自宅がそんなひどい状態になっていることに驚きました。
私もヘルパーさんに家中ピカピカにしてもらって当たり前なんて思っていませんが、さすがにゴキブリやうじ虫が大量にわいているなんて、いくらなんでもひどすぎるでしょう。
そんな家にいたら、いくら体が丈夫な人でも病気になるのは当たり前です。しかも祖父は90歳だったんですよ。
当然ですがそんな状態を放置する訳にはいかず、私はまだ電話で数回しか話したことのないケアマネージャーさんに、ヘルパーさんと直接話したいと訴えました。
話を聞けないままヘルパー事業所を切ることに
私はなにもヘルパーさんを怒鳴りつけてやろうとか、これまで払った料金を返せとか、そういう話をしたかったのではなく、ただヘルパーさん側の話を聞きたいと思ったのです。
私はヘルパーさんに週に何回、1日何時間入ってもらっているのかも知りませんでした。もしかするとヘルパーさん側にも何か理由があったのかもしれない、なのにヘルパーさんの話を聞かないのはフェアじゃない。
そう思ったから直接話したいと言ったのです。まぁもちろん怒りもありましたが。さすがにあの悲惨な家の状態を見て、「ちゃんとヘルパーの仕事をしていました」なんて言えないはずですから。
私の訴えを聞いたケアマネージャーさんは、すぐにヘルパー事業所に連絡をして直接話せる場を設けると言ってくれました。ただ残念なことに、それは実現しませんでした。
数日たってケアマネージャーさんから連絡があり、事業所と連絡がつかない、留守電を10回以上入れても折り返しの電話がない、と説明されました。
結局「こんな事業所は切りましょう」と言われ、私も当然だと思ったので了承しました。なのでヘルパーさんに入ってもらっていたのに、なぜ祖父の自宅がそれほどまでにひどい状態になったのか、真相はわかりませんでした。
ヘルパーが一方的に悪い訳じゃなかった?
上でご紹介した「とんでもないヘルパー事業所」は、結局ヘルパーさんと直接話せなかったので真相はわかりませんでした。
でも後でわかった5つのことから、私は以前のヘルパーさんが一方的に悪い訳ではないのかもしれない、と思いました。
こちらではその後からわかった5つのことをご紹介します。
1.祖父は要支援2だった!
繰り返しになりますが私は祖父の介護にかかわるまで、介護に関する知識が全くありませんでした。ヘルパーさんのことも、祖父がお金を払って雇っているという認識で、仕事内容や時間も金額で決まると思っていました。
さすがに毎日9時から17時などのシフトで祖父の世話を焼いている、とまでは思っていませんでしたが、金額によってはそれに近いことをやってもらえる、と思っていたんです。
後からわかったことですが、そのときの祖父の要介護度は「要支援2」でした。要支援とは要介護状態が比較的軽度で、自立支援を目的としてサービスが提供されるというものです。
具体的にどの程度のことをして貰っていたのかはわかりませんが、どうも「自分でできることは自分でやって貰う」というスタンスのようです。
2.ヘルパーは週に1回、1時間だけだった
また祖父がヘルパーさんに入って貰っていたのは週に1回で、しかもたった1時間でした。1週間に1時間だけで、一体どれだけのことができたでしょう。
それを知って、私は結局話すことができなかったヘルパーさんが、全面的に悪い訳ではないと思いました。
もちろん連絡がつかなくなったのはおかしいですし、あれほどまでにひどい状況ならこちらに連絡するなど、何か手段はなかったのかとか、言いたいことはありますが。
ただ要支援と要介護ではして貰えることが違う、週に入って貰える回数や時間も違う、ということは知っておいた方がいいと思います。
3.祖父がヘルパーを拒否していた可能性もある!
祖父の介護にかかわってすぐ、私はもしかすると以前のヘルパーさんを祖父自身が拒否していた可能性があると思いました。
そう思ったのは私が祖父の介護にかかわってから、実際に祖父が何度かヘルパーさんの訪問を拒んだからです。(これについては祖父の介護⑧↓で詳しくお話しします)
元々祖父はプライドが高く、他人の世話になったり、自分のことに口を出されるのをひどく嫌うタイプでした。
更に決定的だったのが、ヘルパーさんが祖父の自宅を訪問する、という現場に私が居合わせたときに見た光景でした。
※ちなみに※
ここからご紹介しているのは、以前のヘルパー事業所ではなく、新しく契約した事業所のヘルパーさんです。
ヘルパーさんは祖父に挨拶をしたあと「洗濯をしましょうか?掃除をしましょうか?」など、「○○をしましょうか?」といくつか尋ねたのですが、祖父は「なんもせんでええ」と言いました。
するとヘルパーさんは訪問して5分もたっていないのに、「では帰りますね」と言って玄関に向かったんです。私は驚いてヘルパーさんの後を追い、どういうことなのか尋ねました。だって1時間は家の用事をしてもらうことになっているはずなんですから。
ヘルパーさんの答えは「無理強いはしないことになっているんです」というものでした。正直「え、そういうもんなの?」と驚きました。
4.なにもせずに帰せばお金がかからないと思っていた?
このときは週3でヘルパーさんに入ってもらっていたんですが、もし毎回こうならヘルパーさんに入ってもらっている意味がないと思いました。だって何もしてないんですから、来てないのと一緒です。
もちろん生存確認や、体調の変化を知るといった面では役に立つと思いますが、目的は祖父ができない家事などをやってもらうことだったので。
更にヘルパーさんに「本当はこういう場合キャンセル料がかかるんですが、とらないことにしています」と言われ、私はびっくりしました。
そのことは私だけでなく、恐らく祖父も知らないはずです。これは祖父ときちんと話をしなければならないと思いました。
ヘルパーさんが帰ったあと私はまず「何もして貰わなくても、ヘルパーさんが自宅を訪問するだけでお金をとられるんですよ」と祖父に説明しました。
私がそう言ったのは、恐らく祖父はヘルパーさんが自宅を訪問しても、何もして貰わなければお金はかからないと思っていると感じたからです。
5.お金を払いたくなくてヘルパーを追い返していた?
祖父はとにかくお金がかかることを嫌う人でした。なんせ自分の妻の長期入院先から「皮膚の治療をしてもいいですか?」という確認の連絡が入ったとき「金がかかることはせんでええ」と答えたのですから。(後から聞いて絶句しました)
私の説明を聞いて祖父は驚いていたので、やはり何もして貰わずにすぐ帰って貰えばタダと思っていたのでしょう。
更に本来はキャンセル料がいると告げ、今はいらないと言っていても、いつからとられるようになるかわからない、ということを告げると(出まかせですが)、祖父は焦った様子でした。
それを見て、これは以前の週1のヘルパーさんも同じように追い返していたのかもしれないと思いました。それなら部屋の惨状も納得がいきます。
たとえヘルパーさんが仕事をしたいと思っても、利用者である祖父が「なんもせんでええ」と言っているのに、「いえ、やります」なんて無理やり掃除や洗濯をする訳にはいかないでしょうから。
なのでもし「あれ?ヘルパーさん、ちゃんと仕事してくれてないのかな?」と思うようなことがあったら、まず要介護者がヘルパーさんを拒否していないか確認をとった方がいいかもしれません。
ヘルパーの仕事内容は把握しておこう!
上でご紹介した5つのことから、私は祖父の部屋の惨状はヘルパーさんだけが原因ではないと思いました。
祖父は要支援2だったので、私が考えていたような家事は仕事に含まれていなかったのかもしれませんし、そもそも週に1回1時間では大したことはできなかったでしょう。
それ以前に祖父がヘルパーさんに何もさせず帰していたなら、ヘルパーさんに入って貰っていなかったのと同じですから、部屋の惨状も納得がいきます。
こういったことを防ぐためには、ヘルパーさんの仕事内容を把握しておくことが大切だと私は思いました。祖父の場合だと、要支援2なら具体的にどんなことをして貰えるのか、そして実際にどんなことをして貰っているのか知っておくべきでした。
ヘルパーの仕事ぶりをチェックすることも必要
更に言えば大多数のまともなヘルパー事業所には大変失礼な話なんですが、やはり利用者以外の身内が、ヘルパーさんの仕事ぶりをチェックすることも必要かなと思います。
なぜなら「祖父が断ったら無理強いはしない」ということは、私がたまたまその場に居合わせたから聞けた、という事実があるからです。
もしあの日私が祖父の自宅を訪れることなく、ヘルパーさんが訪問するところを見ていなかったら、祖父がヘルパーさんに何もして貰わずに、追い返していたことは知らないままだったでしょう。
ヘルパーさんが訪問して5分も経たずに帰ってしまうなら、失礼ですがそのヘルパー事業所と契約した意味がありません。だって仕事をしていないんですから。この場合、仕事ぶりを見るとか以前の問題です。
もちろん祖父が「なんもせんでええ」と言ったからなんですが、もし私がずっと知らずにいたとしたら、祖父の自宅はいずれ以前のようにひどい状態になっていたかもしれないんですよ。
説明不足なことは多い
そもそも「祖父がヘルパーさんの訪問を拒否する」ことを、何故私に教えてくれなかったのか、と疑問に思います。もちろんヘルパーさんが、孫の私の存在を知らなかっただけかもしれませんが、私がいる時に訪問したヘルパーさんには「孫の○○です」と挨拶をしたんです。
その私がいる前で祖父に「なんもせんでええ」と言われ、「じゃあ帰りますね」というやり取りをして、ヘルパーさんは玄関に向かいました。つまり、私には何の説明もしなかったんです。だから追いかけて事情を聞いたんですが。
※ちなみに※
新しいヘルパー事業所とは、祖父、私、母、そしてケアマネージャーさん、新しいヘルパー事業所の所長さんが集まり、契約しました。契約主は祖父ですが、所長さんが私や母に会っているので、その存在を知らなかったなんて話は通らないと思います。
それに正直「何もして貰わなくても訪問すればお金がかかる」、「本当はキャンセル料が発生する」という説明がなかったのも問題だと思います。もちろん訪問を拒否した祖父が1番悪いと思いますが、説明不足なのは確かでしょう。
認知症で説明されたことを忘れていたとしても
ただ祖父は認知症だったので、説明はされたけれど忘れてしまった可能性はあります。でもその可能性は私なんかより、介護にかかわるヘルパーさんの方がよっぽどわかっているはずです。
なのに私や母には何の説明もなかった、というのは、失礼ですが怠慢ではないかと思います。もちろん所長さんは知っていたけれど、実際訪問していたヘルパーさんは何も知らなかった、ということも考えられます。
ただ認知症の祖父が「なんもせんでええ」と言ったからといって、毎回何もせずに帰って、料金だけはとっていた、と後でわかると身内が不満に思うのは当然ではないでしょうか。
もしかするとそう思うのは、私が介護に関する知識がなさすぎるだけかもしれませんが、素人にプロと同じ知識を求められても困ります。
言い方がすごく悪くなりますが、「毎回何もせずに帰って、料金だけはとっていた」というところだけ見ると、詐欺と思われても仕方ないのではないでしょうか?
わからないことは聞き流さずに質問した方がいい
上でかなりキツイことを言いましたが、私は別にお世話になったヘルパーさんが全面的に悪いと思っている訳ではありません。
まず私に知識がなかったこと、それが理由で何を聞いておくべきかわからなかったことなど、こちらにも非はあります。
ただ申し訳ないですが、実際何人かの介護関係者と話をしていて、当然のように専門用語が出て、それについての説明がなく困ったことが何度もあります。(もちろん悪気がないのはわかっているんですが)
いちいち聞いていたら話が進まないのと、私に余裕がない(なにせ介護にかかわるのは初めてでした)のとで聞き流してしまい、後で「結局何の話を聞いたんだっけ?」となったこともあります。
ただこれがトラブルの原因になることもあるので、わからないことは聞き流さずに質問した方がいいです。もしその場が無理なら、後からでも聞きましょう。
1人に言っても全員には伝わっていない
あとケアマネージャーさんに言ったことが、ヘルパーさんに伝わっているとは限りませんし、ヘルパーさんもAさんに言ったからBさんにも伝わっている、とも限りません。
これは本当によくあって、「え、ちゃんと言ったのに何で?」と困ったことが何度もあります。
こちらからするとケアマネージャーさんに言ったから、ヘルパー事業所の所長さんに伝えたから、などで、祖父の介護にかかわる全ての人に伝わっている、と思ってしまうのですが、実際はそんなことないんですね。
実はこれで祖父がまた「お金をとられた!」と大騒ぎする事態になったこともあり、正直「あんなに説明したのに!」と腹が立ったこともあります。
とはいえ相手にも私の知らない事情があるかもしれませんし、文句ばかり言っても仕方ないですから、とにかく初めて会う人には「介護のことは何もわかりません」など、正直に伝えるようにしましょう。
伝えたいことは連絡ノートに書いておこう!
ただ全員に直接会って口で伝える、というのは難しい場合も多いですよね。そこでおすすめなのが、連絡ノートを作っておくことです。
私は最初メモに書いて机の上に置いていたんですが、それだと作業の邪魔で目立たないところに置かれてしまい、全員が見てくれなかったりしました。
こういったことを避けるためには、ヘルパーさんや訪問看護師さんが毎回必ず記入する介護ノートと一緒に連絡ノートを置いておき、表紙に「毎回必ず確認してください」などと書いておくといいですよ。実際私はそうしていました。
さらに直接会った方に口で伝えて「他の方にも伝えてください」と言っておくと安心です。直接が無理なら所長さんなど、責任者の方に電話でお願いするといいでしょう。
そうすればさすがにヘルパーさんに入って貰っているのに、自宅がゴキブリやうじ虫だらけなんて惨状は、きっと避けられるはずです。
まとめ
今回は私が祖父の介護にかかわる前に契約していた、とんでもないヘルパー事業所についてご紹介しました。
ヘルパーさんのお仕事は、ふわふわしたイメージではっきりとはわかっていないという人も多いはずです。私もそうでしたし、今でも全て理解しているとは言えません。
ただそのせいで誤解が生じると、とんでもないトラブルに発展することもあるので、ある程度理解しておく必要があると思います。
とはいえ正直複雑な部分も多いので、よくわからないことはケアマネージャーさんやヘルパーさんに直接訪ねた方がいいでしょう。
私もうるさいくらい色々聞いてみましたが、とっても親切に教えてくれましたよ!直接が難しいなら、電話で聞くのがおすすめです。
※ちなみに次の記事はこちら↓